映画を極めろ一直線女子の究極裏道

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美空ひばりの映画『おこんの初恋 花嫁七変化』と高倉健の母親と日本踊りの超功労者

 

2019年の裏側の最後の記事、いつもの違うものをと考えましたが、いつもどおり、この流れを重視してゆくこととなりました。「美空ひばりの映画『おこんの初恋 花嫁七変化』と高倉健の母親と日本踊りの超功労者」のタイトルは”2つのと”でつないだの3つの縁起を担いだ締めになりました。

 

2019年の没後30年の不世出の大スターの一人が美空ひばり、ひばりプロやひばり世代が現代も多いことが、テレビが自分たちの信用や求心力を維持するために彼女を利用し、ひばり世代に知名度を維持させたいことも事実ですが、没後30年を経過しても輝き続ける彼女が存在することもまた事実、その実に異色な映画に迫ります。

 

 

 

今回のオモテ記事

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この記事の前の流れの記事はこちらです。

ura-michi-bayari.hateblo.jp

題名や登場人物に実に複雑な要素をふんだんに絡めています。ただ読むだけの記事ではなく、題名を解く記事としても見ていただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

美空ひばりの映画『おこんの初恋 花嫁七変化』と大著名文豪と日本踊りの超功労者

 

 

東映は時代劇ナンバーワン会社であり、日本映画大手6社で最大黄金期の連続1位となりました。美空ひばりもこの連続1位に一定の貢献をしました。

 

 

 

東映といえば時代劇は京都撮影所で撮影がほとんどでしたが、この作品は数少ない東映東京で撮影された時代劇です。何故こんな時代が起こったのでしょうか、しかも美空ひばりです。

 

当時の美空ひばり東映メインの活動となってからも「ひばり捕物帖シリーズ」や「ふり袖シリーズ」など、数多くの東映京都製作の時代劇に出演していました。実は『おこんの初恋 花嫁七変化』が巨匠・渡辺邦男とのコンビの中で、東映東京製作の唯一の時代劇映画の出演作です。渡辺邦男東映の現代劇のみの監督として契約していた時期だったことともこの珍事に影響しているかもしれません。

 

 

美空ひばり
1958『おこんの初恋 花嫁七変化』  東映  *東映で唯一の時代劇  主演

 

 

『おこんの初恋 花嫁七変化』は時代劇でもありながら狐(きつね)の映画でもあります。当時は稀に動物が人間になった場面が描かれる時代劇映画が作られています。東映だけではなく、大映でもいくつか作られています。今でいうとアニメでも作られていそうなテーマの作品ですが、動物の主役=歌が多数登場するミュージカル要素(音楽、唄う要素が強め)の映画がいくつか作られています。

 

美空ひばりはおこん、お菊の二役七変化とあります。7つの顔を演じた、まさに女版の「多羅尾伴内」です。トップ俳優の片岡千恵蔵の影響は美空ひばりにも確実に作品そのものとしても、影響していたともいえそうです。

 

 

 

『おこんの初恋 花嫁七変化』

原作は『王将』などで知られる文化功労者で、日本の大衆演劇の普及に大きく劇作家の北条秀司、東北地方に伝わる伝説を映画化

 

 

 

 

 

伝説の踊り手とひばりや多くの著名文豪や名歌舞伎俳優との交流

 

 

 

西川鯉三郎(にしかわこいさぶろう)の最高弟の西川鯉次郎が、美空ひばりの相手役の斧吉を演じています。西川鯉三郎は歌舞伎俳優を経て、西川家に婿入りし、二世西川鯉三郎を襲名、名古屋をどり西川流を継ぎました。舞踊公演の名古屋をどりを旗揚げした功績が強く、歌舞伎をはじめとする6代目尾上菊五郎などの伝統系、川端康成有吉佐和子谷崎潤一郎三島由紀夫などの多数の著名文豪、

 

日本舞踊などをの舞台の振付や指導した映画俳優の長谷川一夫などの多くの映画関係者、花柳流の普及、東京の三大花街の地域の踊りの形成など、多方面の貢献があります。西川鯉次郎はこの西川鯉三郎と共に西川流に大きく活動した人物です。

 

 

鯉次郎と鯉三郎は、鯉次郎が中学生時代に鯉三郎の内弟子になってから当時なら大長期といえる50年近く、付き添った深い関係があるとの記述も残されています。

 

 

 

 

 

鯉三郎はこの映画に鯉次郎を通じて関与しているだけではなく、美空ひばりとも親交があった人物です。美空ひばりともこの映画以前から舞台の振付や指導したことからの縁があったと考えられます。また西川鯉三郎は『おこんの初恋 花嫁七変化』の原作者の北条秀司とも親交があり、最高弟の西川鯉次郎のこの映画の出演が決められたともいえるでしょう。まったく縁がないところに煙は立ちません。

 

鯉三郎は踊りの活動がメイン当時の踊り関係者の功績としては最大の評価といえる、紫綬褒章を1969年に受章しています。


ですが映画出演は数本のみ、テレビドラマは出演や踊りで関わって10作強でした。『おこんの初恋 花嫁七変化』は西川鯉次郎(西川鯉三郎の芸を備えた人物)が俳優としても映画に出演している貴重作、しかも舞踊でも関与している映画です。

 

 


有名俳優や著名人物=美空ひばり(二役) 西川鯉次郎 星美智子 三浦光子 堺駿二 山茶花究 岸井明 田崎潤 花岡菊子 広瀬恒美 
ある程度は活躍した俳優=須藤健  岩城力 森弦太郎 関山耕司
あまり活躍していない俳優=浅岡すみ江 萩原満 北川恵一 大沢幸治 宮坊太郎  山本緑 古賀京子 春丘典子

 

 

当時としては俳優があまり豪華ではありません。美空ひばりの主演映画はこれ以上に豪華俳優陣が多数ありますが、その中でも残念ながら下のほうといえるキャストです。キャスティングは西川鯉次郎は出演している部分がもっとも特徴的といえますが、その他だと岸井明は上位の助演、花岡菊子、広瀬恒美は脇役、この3名は戦前の映画スターが出演しているところに目が付きます。

 

西川鯉三郎 (1971年)

西川鯉三郎 (1971年)

 

本人名義の書籍が出されています。中古品の出品は13,139円と高額さが貴重さを感じさせます。

 

 

 

 

映画と「芸の弟を通じた親密な関係」

 

 

多少複雑ですが、 最高弟の鯉次郎を通じて鯉三郎とひばりのつながりがあるということが伝えたいことです。世の中や映画界の多数存在していますが、直接的だけが関わりではありません。「芸の弟を通じた親密な関係」が存在していることも黄金期の日本映画の多様性や深みを示す一つなのではないでしょうか。

 

 

 

 

ひばりと6作共演の名女優は高倉健の母親 三浦光子

 

 

三浦光子は戦前からのある程度のスター(主演とヒロイン合わせて10ほど)でもありますが、戦前のみのスターというわけではなく、戦後もヒロイン(主演と合わせて35本ほど)で活躍しています。当時は戦前のみのスターは戦後に脇に回る俳優が多い中で彼女は一定の評価を受けていたことがわかります。

 

1952年の『西陣の姉妹』の宮城野由美子とダブル主演が世間的に有名な主演の大きな代表作といえるでしょう。戦前と戦後を通じて最低限の一定以上の活躍した女優として、比較的に上位の映画出演は170作ほどです。

 

特に戦後は片岡千恵蔵の相手役や助演女優で知られ、大菩薩峠(1953の3部作)や多羅尾伴内シリーズなど数本のヒロイン役、金田一耕助シリーズと千恵蔵のギャングシリーズにそれぞれ1作ずつのヒロインと助演、と遠山の金さんシリーズ『血ざくら判官』(1954)のヒロイン、千恵蔵映画の「黒田騒動」、「飛龍無双」などの代表作の多数の助演でも知られています。

 

 

 

 

1953年映画パンフレット 大菩薩峠 片岡千恵蔵 月形竜之介

1953年映画パンフレット 大菩薩峠 片岡千恵蔵 月形竜之介

 

片岡千恵蔵大菩薩峠(1953の3部作、渡辺邦男版)の貴重なパンフレット、のちのカラーの内田吐夢×千恵蔵版(1957~1959の3部作)は商品化されていますが、渡辺邦男×千恵蔵版の映画は個人的に録画済ですが、商品化されておらず非常に残念です。三浦光子は重要なヒロイン役で出演します。

 

 

また、大映三益愛子の母物映画の流れを受けた東映の母物映画に3作に主演、東映チャンネルでも放送されたことがある1956年の『母孔雀』では映画デビュー当時の高倉健の母親役を主演で演んじています。『母孔雀』はCS放送の東映チャンネルで録画しています。


三浦光子と美空ひばりとの共演は現代劇映画「べらんめえシリーズ」2作を含む計6作です。そこそこ競演しています。美空ひばりの映画の活躍の陰にこうした女優たちや俳優たちがたくさん存在したこともきちんと胸に留めておく必要があるのではないでしょうか。

 

 

 

 

姉妹のドラマブログ 映画に関しても登場しています。

 

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三浦光子の影に 彼が彼女を撮っていたら彼女の違う一面

 

 

2001年の巨匠・吉村公三郎の没後の特集をした映画上映時の貴重なポスターです。1952年の大映映画『西陣の姉妹』は三浦光子の最大の代表作とされていますが、同時に彼の代表作の1つです。女性映画や異色作を得意とした吉村監督の魅力が詰まっています。個人的には視聴していますが、『西陣の姉妹』は商品化されていないようです。

 

 

 

 

ub41561吉村公三郎追悼監督特集B2判ポスター 越前竹人形 地上 西陣の姉妹 安城家の舞踏會

 

 

大女優の田中絹代は4番手で助演、他にも進藤英太郎宇野重吉東山千栄子、日高澄子、 菅井一郎、三橋達也柳永二郎殿山泰司など多くの名優が出演しました。

 

断定はできませんが上記の「シネマ・ジャック」とは横浜の「シネマ・ジャック&ベティ」のことかもしれません。ここはシネマ・ジャックシネマ・ベティの2つに分けた上映を行っており、ジャックは114席、ベティは138席とあります。

 

吉村公三郎は女性の描写に定評があり、纏う流れが非常にしなやかに情緒的に上手い監督で、個人的のもかなり評価しています。日本映画歴代の中でも例えば、内田吐夢中村登衣笠貞之助などと競う位置の女性の描写に巧みな監督たちです。

 

残念ながら吉村監督は娯楽というよりは作家路線や前衛的映画の路線、完全に娯楽路線を突っ走る美空ひばりとの縁は1度もありませんでした。彼が彼女を撮っていたら彼女の違う一面が見られたかもしれません。