映画道を極める一直線女子 合わせて映画420作 大友柳太朗と中村錦之助の映画110作が秘めたドラマを更新いたしました。
今回は大友柳太朗を軸に中村錦之助との意外な共通点、と食い違う部分、それぞれの履歴における個性などに迫りました。
その中で佐伯清、高倉健、喜多川千鶴、美空ひばり、東千代之介の人物や『ひよどり草紙』、「新諸国物語シリーズ」、「快傑黒頭巾シリーズ」から『ご存じ快傑黒頭巾 マグナの鐘』も登場しました。高垣眸も登場しました。
・忘れ去られた児童文学作家 高垣眸と頭巾もの有名映画たち
時代劇映画では”頭巾もの”の時代劇映画が数多く作られていました。その中でも黒頭巾や紫頭巾、白頭巾が特に大きな代表格です。一言でいうと悪や不正を裁く、頭巾を被った正体不明の謎のヒーロー(正義の味方)を描いていますが、異なる部分も黒頭巾や紫頭巾、白頭巾のそれぞれで細かい部分に存在しています。
・『御存じ快傑黒頭巾 第二話 新選組追撃』は、2話とありますが、快傑黒頭巾シリーズとしては通算4作目に該当します。同時に「御存じ快傑黒頭巾」としては2作目です。日本にも海外にも1とタイトルにありながら、2作目がないものや1作目が無いのに2が付く映画が存在しています。
例えばアメリカ・イギリス合作映画『カプリコン・1』など、1と付きますが2作目がないなど、2作目がないのに1が付いている作品も存在しますが、その逆もあります。
・黒頭巾と紫頭巾の関わり
「快傑黒頭巾」の作者の高垣眸(たかがきひとみ)という人物は現在では取上げられる機会が少ない人物です。
原作は児童文学作家と時代劇要素を組み合わせた作品であり、1926年に黒頭巾の発売、1923年に原作として映像化された紫頭巾のデフォルメが感じられます。快傑紫頭巾は時代劇作品でもありましたが、児童文学の要素はありません。頭巾もので悪を裁く正義心を刺激し、、読みやすいように児童文学の要素を取り入れることでオリジナリティを高めました。
*高垣眸の名は”ひとみ”と読みますが性別は男性です。
・テレビドラマで人気を博した『豹の眼』(豹=ジャガー)もこの高垣眸の原作でした。
・快傑黒頭巾の人気の影響
また、嵐寛寿郎の「鞍馬天狗シリーズ」に『御存知鞍馬天狗 宗十郎頭巾』という作品が存在していますが、この宗十郎頭巾の頭巾からも当時の原作の人気が伺える部分です。
快傑黒頭巾は1935年に発売されて、子供たちに大きな人気を博しました。この『御存知鞍馬天狗 宗十郎頭巾』は1936年に公開していたことからも当時の人気にあやかった部分も考えられます。鞍馬天狗は快傑黒頭巾と同様に子供向け映画の要素が強かったことから、*本家は不安を感じていたのかもしれません。
*本家=1935や36年の当時は日本の子供向けのヒーロー映画は1927年からスタートした嵐寛寿郎の鞍馬天狗が代名詞と言える状況がありました。快傑黒頭巾も多少なりの原作や映画も影響は受けていました。
鞍馬天狗〈2〉地獄の門・宗十郎頭巾 (小学館文庫―「時代・歴史」傑作シリーズ)
・国民的大作家・大仏次郎が影響されていた可能性
・紫頭巾と世界の歴代の映画関係者の中でも稀にみる多彩で多作の人物
紫頭巾というと寿々喜多呂九平の名前が出てきます。時代劇映画の発展に貢献した人物でした。寿々喜多呂九平(すすきたろくへい)の最大の代表作といえるのが紫頭巾やその関連映画群でした。
寿々喜多呂九平は映画の原作が90作を越している大作家でありながら、脚本を110作以上手がけけ、幾度かの制作、映画監督でも40作以上の映画を残したマルチな才能の持ち主として評価されています。世界の歴代の映画関係者の中でも稀にみる多彩な人物でした。
・報龍太郎、狩田秀麿、紫頭巾の3役が同一人物の魅力
個人的にも紫頭巾の映画やテレビドラマをいくつか観たことがありますが、紫頭巾の映画は報龍太郎、狩田秀麿、紫頭巾の3役が同一人物であるところにもっとも特徴がある作品だと感じています。東映の片岡千恵蔵の『紫頭巾(1958)』や今回のメインの大友柳太朗の『変幻紫頭巾』(1963)は比較的に簡単な視聴ができます。
最近になって片岡千恵蔵の『紫頭巾(1958)』、大友柳太朗の『変幻紫頭巾』(1963)がハイビジョン化されました。わたくし愛子も必然的に録画しています。
・寿々喜多呂九平の紫頭巾に次ぐ候補の代表作題材を阪東妻三郎と名コンビ・二川文太郎によって初の映画化されたのが『江戸怪賊伝 影法師』であり、1925年に公開されました。
・映像化における多くの原作の代表作
寿々喜多呂九平は、紫頭巾が主役の「紫頭巾」、紫頭巾が主役の「佐平次捕物帖」、紫頭巾が登場せず、岡っ引きの佐平次を主役にした「佐平次捕物帖」、「快傑鷹」、「影法師捕物帳」、「雄呂血」の多くの原作の代表作を残しました。
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